鼠の騙し討ち

太刀打できますん

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
・なんか昔書いた小説モドキの続きが気になると言われたので、再構成してみたら別物になった気がする。けどまあ、書きたかったのはこういったもののような気もしたりしなかったり。

・しかしまあ、あいかわらず劣化版なんとかさんを目指そうとしてスベリまくってる文章が鼻に付くのう。



"出戻りアイウォンチュー"
 学校から帰り、台所のテーブルにあった書置きを手に取る。ツルツルとした広告の裏に、筆ペンで書かれた頭の悪そうな言葉だけを残し、それ以外の母の荷物が家からなくなっていた。
 特に驚きはしなかった僕は、暖房を入れてからマフラーを外し、制服をハンガーにかけインスタントのコーヒーを淹れた。窓から狭い部屋へと差し込む西日が、否応なく哀愁を感じさせる。
 もう一度書置きを手に取り、丸めてゴミ箱に捨てた。言葉の意味は不明だが、ニュアンスとこの状況から察するに母は元の旦那の元へと帰ったのだろう。
 この家の事情は多少だが複雑だ。まず母は元の旦那と離婚して、新しい男と一緒に僕を作った。離婚の理由はハッキリと聞かされたわけではないが、子供が出来ないことや、性生活の不満という事を仄めかしていた。そして他の男に走ったところで愛でたく(誤字にあらず)僕の誕生。だがしかし、そんな生活も僕が中学に入った頃に、父が他に女を作って家を出て行ったことで終わる。性生活の不満だと言っていた。四十も半ばを過ぎて、愛に生きる人たちであった。まだまだ元気な事で大変よろしいと思う。
「健啖ですわなー」
 そうして今朝までこのアパートは、僕と母の二人暮らしだったわけだ。
 成る様にして成ったと言えばいいのか。父が出て行ってから、母の様子はどんどんおかしくなっていった。それとも、僕が知らないだけで、それが母の本性だっただけの事かもしれない。
 父が出て行ってしばらく、母は何かの本を読んでいたと思ったら、突然僕を呼び出してこう言った。
「あのね、聞いて欲しいの。ほら、風水的に見てこの家ってちょっとおかしいのよ。見て頂戴、このページに書いてあるでしょ? 窓がある方向って大事なの。西の方角に窓があるなんて論外。それもそうよね、だって、ちょっと考えれば分かることじゃない。人間って、東から昇ったお日様を眺めて一日を始めなくっちゃいけないの。清々しくて、心が表れるようになるじゃない? お日様を体に浴びる事によって、体内時計だって調節されるわけだから、健康にもいいのよ。だったら部屋も一緒。生き物なのよ。それなのにココと来たら、沈んでいく夕陽しか入ってこない。どこかの民族では、太陽が沈むのは死ぬからなんだって話よ。そして昇ってくる太陽は、新たに生まれた神々しいものなの。つまり、毎日毎日、死体をこの部屋に呼び込んでいるってことよね。これじゃあ辛気臭くて敵わないわよ。そういえば、不動産屋でこの部屋を選んだのってあの人よね。家具の配置を決めたのもそう、あの人。お洒落だからって言って矢鱈滅多らテレビだの箪笥だのを斜めに置いて、私は散らかっているようにしか思えないからやめてって言ったのに。ほらここに書いてあるでしょ、風水では家具は斜めに置いちゃ駄目なんだって。それ見たことか。きちんと整理整頓しなきゃ、気の流れが悪くなるのよ。あの人がこんな簡単なことを知ってさえいれば、こんなアパートになんか来たりしなかったって言うのに。だいたい名字からして駄目だったのよ、あの人は。あんな画数じゃ、どんな名前と合わさっても良い運気なんてなりゃしない。私の人生を何年無駄にしたと思っているんだか。今からでも昔の自分に教えてあげたいわよ」
 そう語った母は愚痴を言いつつも、どこか誇らしげですらあった。
 重症である。
 何がそんなに嬉しいのだろうか。言葉を聞くだけで体調が悪くなっていくのを感じていると、今度はちょっとした吹き出物が顔に出来た事を、さも一大事かのように話し始め、遠くに引っ越したのが悪かっただの何かの呪いだのとまくし立て、最終的に自分は特別な人間であり大事にされてしかるべきであり、このようなところにいるべきでは無い、と言ったところに着地した。
 この人の中では筋道の通った話しになっているのだろう。そうまでして生きることへの言い訳を並べて、可愛そうな自分アピールに励んで、優しい言葉を貰えるとでも思っているんだろうか。
「生き意地が汚いね、母さんは」
 僕が素直にそう言うと、顔を真っ赤にした母は「育ててあげた恩を忘れて!」と言った決まり文句で僕を責めた。親というのは、子供を育てる義務があるし、そんな覚悟も無しに命を弄ぶみたいに子供を作る親の神経が知れない。などと思ったが、今回は僕が口を滑らしたのが全て悪いので、それ以上は何も言えなかった。
 それ以降、矛先が僕の方にも向いてくる。ちょっとしたことでも、根拠の無い推論を立て、僕の友人関係を侮辱するようなことを言い続けた。僕はゲイであり犯罪者であり何かの救世主で母と戦うのだそうだ。
 意思疎通の難解さを理解した。
 しかし、そんなあれな発言が目立ってきたとしても、やはり血縁だったので僕はなんとかしたいと思うようになる。関係改善と情緒不安定な母をなだめる為、一つ一つ諭すように言葉を投げかけてみた。しかし、その場は大人しく僕の話を聞いて納得したかに見えた母も、次の一瞬で態度をコロッと変え、「やっぱり自分が正しい」とだけ繰り返し、最後に言ったもの勝ちのように会話を強引に終わらせ、元の鞘に戻っていった。
 そして今回、本当に元の鞘へと戻ったのだろう。
 近頃、前の夫の話ばかりしていたから予想はしていたが。
「もう私はお仕舞いだわ」と昨日言っていたので、どうか金輪際、僕に関わることなく頑張って欲しいところだ。
 しかし現実問題として、学生が一人で生活できるのかという。施設に入ろうかとも思うが、簡単に入れるものなのだろうか。まあ先に父に頼るしかないのかなと考え、しばらくしたら連絡を入れようと決めた。
 もういい加減うんざりしていたので、数日は誰かと挨拶を交わすことすら億劫だ。
 母のふざけた書置きの言葉を思い出し、僕は引き出しからマッチを取り出し三度擦ってから火を点け、ゴミ箱に落とした。ゆっくり溶けるように燃えていく広告用紙を眺めてから、コップに水を入れて、火を消そうと中身をゴミ箱に流した。
 火がモノを焼くときの、鼻を突く匂いが不快だったので窓を開けていると、携帯電話が鳴った。
 ディスプレイを覗いて、自分の失態に気が付く。そういえば、外に彼女を待たせたままだ。母に合わせるのが嫌だったので、出かける準備が整うまで待ってもらっていたのだった。そんなことをすっかり忘れていたということは、思いのほか、僕は随分と動揺していたのだろう。
 電話口で僕は彼女に謝ってから、今日は遊びに行くお金も無いから家に上がっていかないか、と聞いた。彼女は無愛想ながらも承諾してくれたので、僕は座布団と、飲み物と、お菓子をテキパキと用意した。
 彼女との出会いは、同じ風紀委員だったことからだ。風紀委員と言っても、別に堅苦しい仕事をしているわけでもなく、同じ生徒たちの体面として運営されているようなものだった。
 何か行事があるときや、風紀向上期間のときだけキリキリと振舞い、各所に顔を出しては挨拶するだけだ。彼女が言うには、「大人になると、こういったことが大事になるんだって。パパが言ってた」とのこと。
 委員会活動の時、彼女と僕は隣のクラス同士ということで並ばされる事がよくあり、自然と話すようになっていた。
 半年も経つと、二人の中に流れる雰囲気の温度も上がってきており、「ああ、この子と付き合うようになるのかなぁ」などと考えるようになる。それは彼女の方も同じだったようで、二人はごく自然に付き合い始めた。
 燃え上がるような恋とか、居心地がいい、なんてことはなく、「まあ付き合っているんだし、こういうこともあるよね」といった、割と杜撰でいて、流れについていけずに二人の関係を遠くから眺めているような感じだった。
 だからだろうか、二時間ほど彼女と話していて、会話が途切れた時に「シャワー使うね」と彼女が言った時も、「ああ……えっ? おお、うん。はいどうぞ」と間の抜けた返事をしてしまう。
 なぜ僕は正座して待っているのだろうか。
 今日は誰もいないと彼女に言ったことや、家に呼んだ時点である程度は予想できていたわけだけど。こうも淡々と進行していいものだろうか。いや案外こんなものかもしれないなぁ。
 数分してから彼女がバスタオル一枚で出てきたので、交代してシャワーを浴びてきた。ドキドキとかフワフワというより、ブランコに乗ったとき、勢いを付けすぎて、遠心力から外れてしまった時の様な出鱈目な気の持ちようだった。
 本当にするのか。いたすのか。とうとう僕は男になるのか。なんだか騙されているような気もする。でもそんな臆病なことは言っている場合じゃない。どうでもいっか。
 二人とも、バスタオル一枚を着けてベットに座っている。「じゃあしよっか」と彼女が言い、おもむろにバスタオルを外したので、僕は緊張してることがばれないように、ゆっくりとタオルを外した。
「そうだ、コンドーム買ってなかった」
 段取りの悪い僕である。
「持ってるから」
 そう言って彼女がコンドームを取り出して、慣れた手つきで勃起した僕のペニスに、黒いゴムをつけてくれた。
「いいよ」
 彼女が胸を押し出して言うので、ここはオッパイを揉むのが正解だな、などと心の中で指差し確認をしてから揉んでみる。
 お互い無言だ。
 ベットに座ったまま、両手を彼女の胸において指を動かす。手の平を使ってみたり、黒ずみ始めている乳首を抓んで捻り、ちょっと引っ張る。
 少しオッパイを持ち上げると、脂肪の塊の下に酷い汗疹を見つけた。なんだか、石を取って裏側を見たら、ダンゴムシがびっしり張り付いていた事を思い出して、背筋がゾクゾクとした。
「気持ちいい?」
 そう聞いてきた彼女は、さっきから僕のペニスを握って上下に擦ってくれていた。力いっぱい擦ってくれているのだろうけど、やっぱり女の子の握力は弱くて、なんだか焦らされているような感じがする。
「じゃあ寝て」
 指示に従いベットに仰向けで寝ると、彼女は僕の股間に顔を寄せ、ペニスを咥え始めた。
「オゥ~イエスッ! イエスッ! ハフゥ~!! ホオォォォ!!」
 などといきなり喘ぎ始めたら僕は単に頭のおかしい人だけど、何も言わずにいるのも手持ち無沙汰だったので、「アア……あ、ああ……」と申し訳程度に口にした。
「髪触んないで」
 ペニスから口を離した彼女に睨まれた。駄目だったようだ。
 しかし両手が遊んでいるのも何なので、とりあえず手拍子を打ってみた。
「女の子の~、ちょっとイイトコ見て見たい~。ハイ吸って吸って吸って、吸って吸って吸って、吸って吸って吸って、飲んで?」
 もちろん嘘だ。飲み会のノリなんて初心者の僕が出来るはず無い。
 肩に手を置いてみた。温かくて心地良いなぁ。
 フェラチオをしている彼女を見ると、口を大きく開いた彼女は、なんだか頬が出張っていて、眼球の周りも上から見ると、骨の輪郭がハッキリと見える。なんだか骸骨がいるみたいで、ちょっと不気味だった。
 数分が経ち、彼女がペニスから口を離して、僕に馬乗りになる。
 あれ、もう入ってるの?
 彼女の方は準備できているんだろうか。もう濡れているの? よくわかんないけど、咥えていると濡れるとか聞いたけど、そんな感じでも無さそうだし。それよりなにより、彼女は愛想が無いのでどう扱えば良いのかちょっと分からなくなる。僕も人のこと言えないけど。
 ズンズンと動く彼女は、やっぱり体重50キロの皮袋なのであって、ちょっと勢いがいいと重くて敵わない。暗くなった部屋で、喘ぎ声もなく黙々と上下運動を続ける彼女は、何か得体の知れ無い生き物だった。
 これが正常位だと、下になるのは女の子のほうだ。男のほうが体重あるし、やっぱり女の子はセックスる時ちょっと怖いのかもしれない、などと女の子気分を味わった。
「あれ、抜けちゃうね」
 彼女の動きが止まり、僕のペニスを見る。
 正直気持ちよくなかったので、萎えてしまったペニスが彼女からヌルンと抜け出てしまった。
 もう一度彼女が手で扱いて、口で咥えて元気になったところを挿入してもらったが、やっぱり膣内で萎えてしまった。
 膣内射精障害、というヤツだろうか。膣圧というのは握力に比べて弱く、そのうえ床オナニーなどの刺激過多な自慰行為をしていると、膣内の刺激で射精できなくなるというものだ。
 確かに床オナニーはたまにする。こんなところで僕は男性としての威厳を損なうのか、などと絶望してみる。
 それでも何とか勃起しなおしリトライ。
 今度は足をピンと伸ばす。神経が集っている足先を伸ばすと、感度がよくなるのだそうだ。そして、よくオカズにしたエロ本の事を頭に思い描いた。
 セックスをしている時に、別の女性の事を考えるのはマナー違反だというけれど、それこそ途中で萎えて女性に恥をかかすよりは幾分マシだろう。
 僕のささやかな努力が実ったのか、射精感が込み上げてきた。もう二十分ほど彼女に動いてもらっているので、容赦なく出した。
「あ、あの、もう出たんだけど……」
「え? ああ、そうなんだ」
 そういって彼女は僕から退いて横に寝転がった。
 コンドームを外してティッシュでペニスを拭っていると、彼女の方もティッシュで股間を拭いていた。
「どうしてあげたらいいのかな? 私、童貞の人って初めてだから、よくわからないの」
「僕もどうして良いかわかんないや」
 そのまま二人一緒にシャワーを浴びて、ベットに再び横になる。もう時間も時間だし、このまま二人で寝ることになるのだろう。
 男としての尊厳なんて粉みじんになったけれど、なんとか意地を見せるため腕枕をしてあげようとしたら、「腕が痺れるからやめたほうがいい」と丁重に断られてしまった。
 そして、彼女の体温を感じながら僕は眠りに付いた。明日のことなんて、特に考えずに。
 眠っているとき、玄関のドアを叩く音や、携帯電話がずっとなり続ける音が聞こえた気がしたが、疲れていたのか僕も彼女も気が付かなかった。
 それも嘘だ。分かっていたけど、やっぱり嫌だったから、狸寝入りをしたのだ。

                                    了


コメント

読んだ。斜めというか空中から見てるような視点が面白かったです。
あと、唐突な英語のせいでコーラ吹いた。ディスプレイ弁償してください。

アザースアザース。今東京いるんで弁償とかマジかんべんな。

何回読んでも後半の壊れ加減がコロネのチョコレートみたいに美味しいですwwww

ありがとうございます。楽しんでいただけたようでなにより。
あと、こんなところでなんですが、卒業おめでとうございます。

ありがとうございます。実家永住安定です。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://wariniawanai.blog75.fc2.com/tb.php/511-1a19190c

あきねずみ

Author:あきねずみ

セルフ 貴子同盟

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。