鼠の騙し討ち

太刀打できますん

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色々と愚痴を零しながらモヤモヤしながら「ユメミルクスリ」の感想を書いたよ。
相変わらずネタバレ及び妄想は標準装備なのでご注意を。




白木あえか

異質なファクターが中心にあることで、より明確な構造手段によって物語性を訴え、田中ロミオが監修する強烈な追及と風刺が描かれている、とかなんとかそれっぽいことを言えば煙に巻けると思うなよ。
あえかのイジメに対して人一倍罪悪感を抱く公平は、幻聴や夢に苛まれるほど敷かれたレールの上で生きることへの反発として彼女を庇う。それは、他のルートでもヒロインに惹かれる動機として描かれ、公平の抱え込む傷が物語を動かす。あえかルートではより顕著に、救いの手という能動的なものによって示されている。
しかし相対するものがあえかで無ければ、ここまでの成長をすることは叶わなかっただろうと思う。当然、無色透明な自分に苛立ちを感じる公平を主人公に置くなら、惹かれる対象のヒロインも特異な固有性を持っていなければならない。
あえかのイジメられていた原因が、その極端な志向性。他人とのズレを生むくらいに彼女の感情のふり幅は大きい。加えて、両親の問題で周囲に気を配る事が出来ないくらい疲弊していた。
そうして外部と内部の両面から責め苦を受けた彼女は、誰にも頼ることが出来ず耐える道しか残されていない。
そこで公平と出会うことにより、彼女は自分の欲望を抑える事をやめる。彼女の極端な思考のベクトルが変異し、公平を繋ぎとめるために向けられた。自殺という脅迫。南条への暴力。公平もイジメの対象になったことへの癇癪。
自分の傷を癒すために他人に手を差し伸べた公平も、また彼女の異質さに変異していく。他人を助ける事で、今の自分とは違う何者かになろうとしたが、公平のパーソナルである透明な自分が、より強い個性に影響を受けてしまう。嫌いなら自分の事を殺してしまえば良いと言う、シンプルでいて苛烈な、純度の高い感情に支配される。
養子として引き取られた公平は、他人に迷惑をかけないよう模範生を目指し自己改善に取り組み、ヒロインに追従するよう自己破壊を試みるためファイトする。冒頭の夢に示唆されている通り、リアルを求めた彼らは徹底的に今を破壊しつくした。


ケットシー・ねこ子

主人公と同様、自分の色が無いことに焦りを覚えた彼女は、主人公のように優等生になれるほど器用でもないためドラッグに手を染める。安易な自己改革がもたらしたのは、変身願望からなるリアルの否定。
自分の居場所が無いため変身したのにも関わらず、妖精郷探しに見られるよう、彼女は安住の地を得ていない。それは公平が日常に溶け込むよう、優等生に成ったことと前提が違う。しかし公平もまた、自己改善からなる日常に安寧を見てはいなかったため、ねこ子の強烈な色に惹かれていく。
そして、ねこ子の正体がドラッグによるものと知った時、公平は彼女を糾弾する。倫理に伴うことも当然だが、優等生という自己改善を誰よりも苦心して手に入れた彼は、クスリという安易な変貌を否定する。
だがそれは、ケットシー・ねこ子自体を否定するものではない。それこそが、公平が惹かれた、宏子自身が持つ唯一無二のものだったため。宏子が間違えてしまったのは、自己改善を演じるに留めてしまったこと。それでは、理想像を仮託しているだけに過ぎず、自身が蚊帳の外にいる。公平のように変貌を遂げることすら出来ない。
自身が別の何者かになるため苦心し、未だ成長過程にある公平によって解放された彼女の願望は、演技ではなく創造という形に変異する。また、宏子の成長を助けることで、公平自身も成長を遂げる。
バットエンドが印象的だったにゃあ。前提は違えど、同じ傷を抱えた二人が決定的に断絶をする。ねこ子の帽子を取り、妖精郷へ旅立った彼女は、この先もずっと自分を偽り続けるのだろう。泣き笑いの宏子の表情と妖精郷が幻想的な一枚絵だたー。


桐宮弥津紀

他者より優れたものとして公平の目に映る彼女だが、優れたものゆえの達観があり、刹那的な享楽に溺れることで、生への実感を求める。
家族や周囲の生徒から抑圧を受け、能力ゆえに個人として見られていない彼女の人間関係は希薄で、生徒会では常に役員の離別シーンがあり、バットエンドでは周囲から忘れ去られたように扱われる。相手に能力以外の自身が求められていないと知っているため、弥津記自身も他者と深く関わる事も無く日常から乖離してしまう。そして、望まれるのは役職のみで、彼女自体は希薄な存在だと思い、今存在する自分しか信じることが出来なくなる。
明日存在するのは、自分以外の誰かでも構わない。自己喪失を続ける彼女は、溝を深めた周囲との存在の違いを浮き彫りにする。
何の疑いも無く明日が来ると信じている人たちへの否定と逃避。仕事放棄、ヤクザへの喧嘩、海外逃亡、自殺と彼女の未来への逃避はエスカレートしていく。
逆に言えば、彼女は誰よりも自分を見て欲しかった。そこに現れた公平を、共に今を楽しめることの出来る人間として都合よく利用する。しかし、そこにいた公平は、弥津記の高い能力に羨望し、それを行使せずに逃避を続ける彼女に憤りを感じる。ルサンチマンを抱えた公平は、彼女の態度に我慢がならず、生の感情を爆発させる。自己破壊だ。そこで見えてきたのが、弥津記というどこにでもいる平凡な少女の姿。
弥津記が他人を省みず刺激を求め続けることに対して、何者でもなかった彼が誰かに必要とされ生き喘ぐ、他人と一緒にいるという別の道を示す。希薄な人間関係に思い悩み逃げていた弥津記は、ようやく出会えた公平と恋人として付き合うことに戸惑う。
その結果に得られる妊娠。新しい命。学生で妊娠は爆弾に等しい。妊娠が発覚した時、ようやく手に入れた確かな絆を壊してしまう事を恐れた弥津記は公平の前から姿を消し、また未練から公平の前へ姿を現す。
そして、弥津記の本当の姿を知っている公平だからこそ、妊娠と逃亡と言う弥津記の行動を甘受することが出来る。


主人公はヒロイン達を助け、追従する形で彼女達の本来の姿を見つけ、そして、ヒロインの通過儀礼を助けると同時に、公平自身の抱え込む傷を解消する。共同体に排斥された彼らが相互的に成長するための通過儀礼。
その結果、共同体と言う枠組みに囚われず社会生活を送るための摺り合わせが起きる。それらが円滑に行われたのは、家族の存在が大きい。あえかルートの破壊に対して庇護を、宏子ルートの創造に対して許容を、弥津記ルートの刹那的な生き方に対して是正を持って親類を守っている。
公平の家族が、それらの涵養を疑いなく行え、また彼らの行動に説得力が生まれるのは、彼ら自身が公平という養子を受け入れるという道を辿ってきたため。変異し成長した彼らを社会に適応した姿に、先達者として成熟した彼らは育む事が出来る。

現代社会に根ざした問題を取り扱った、実に良い成長物語でしたとまとめてみる。まとめた、のかこれは?

コメント

あけましておめでとうございます(遅

1ヶ月遅れではありますが、諸問題も片がつき
やっとのことで復帰の運びとなりました。

改めまして、今後も宜しくお願い致します。
本日はご挨拶まで。

       命、萌え尽きるまでっ♪ ケロ

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

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あきねずみ

Author:あきねずみ

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