鼠の騙し討ち

太刀打できますん

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「スマガ」の感想でもどうぞおひとつ。

エロゲの批評や感想等を見ていると酷評などももちろん有り、それらは筋の通った納得のいくものもあれば、ただ単に好き嫌いのレベルでどうでもいいもの(このブログの事です)もあります。
そして、作中で明言されてはいないことに対して「なぜこういったことになるのか。こんなものはいらない」「なぜこうならなければならないのか。理解できない」と突っぱねているものの中で、それは作者がこういったことが好だから~とか、作者の前の作品のネタで~とか、その作品の核心に触れられる部分に見られる作り手の意図が前面に押し出されているものに対する不快感というものが有ります。
乱暴な言い方をすれば、作り手の意思を理解できていない、という事。
しかし、作品の派生作品や補完的な意味での別媒体での物、エロゲで言えば小説版やブックレットなどとは別のところで、なぜ消費者の我々がイチイチその作者のブログや繋がりの無い過去作品を見て作者に対する見識を深めなくては、その作品を楽しめないのか。知っている人だけニヤリとできる小ネタならまだしも、作品全体を眺めた時に作中でその作者の好みを見抜くことが出来なければ楽しめない、というのは最早エンターテインメントとしては失敗しているのではないのかと。自分はライターを追っかけて作品を見ることもあるのでそういったものも好きなのですけれど。その作り手を意図的に意識させる作品もありますけどね。「らくえん」とか。
そして、この「スマガ」という物語は、作り手の意思を汲み取らせようとする物語の構成だったってことにクリアしてから気が付きました。遅すぎます。

では、以下ネタバレで。

アリデットの映画ネタを筆頭に「スマガ」には全て分かる人がいるのかどうか疑問に思えるくらい非常にパロディネタが豊富で、このライターさんの趣味が丸出しだなぁと苦笑したものです。
しかし、天蓋に覆われた伊都夏市というのは、川嶋有里が作ったものだから、彼女の趣味が丸出しだったというわけですね。彼女はかなり際どい趣味をお持ちのようで。
有里という少女が今まで見てきた創作物、経験してきた事が作為的に反映されていることを象徴するように、過去の名作や星座にまつわる神話が設定のモチーフに取られています。空からヒロイン(スマガの場合主人公ですが)が落ちてくることや、記憶喪失の主人公など。佐草やうんこマンが有里の生きる世界に実在した事から、外から来た人間というのは恐らく実際の人間をモチーフに描かれた人物なので、その人間の知らない事まで再現できないので記憶喪失という方法を取っただけのような感じですが。
そして、その設定の確たるものの一つに悲劇というものがあります。常に襲ってくる悪魔(ゾディアック)に敗れていく魔女(エトワール)たち。魔女(エトワール)たちの戦いは報われる事無く、降りかかる火の粉を払う程度の対処療法的なものしかなく、悪魔(ゾディアック)に対する解決の目処も立っていない。
それらの閉鎖された悲劇という伊都夏市の根底にある設定を望んだのは神様たちで、その神様たちは今にも滅亡する世界の時間を止めてまでセカイの悲劇を好んで見ています。
神様たちの自分たちへの慰めが含まれているのでしょうか。
自分たちが隕石の落下で逃れようの無い悲劇の只中にあるのだから、物語の中の悲劇に救いを求めている。結局は悲しい出来事だったけれど、それでも二人は幸せに辿り着いたからよかったね、と。それらを忠実に描いたのがSHE MAY GO(初期スピカ編)

そして、スピカ編のうんこマンの生き様を通して神様たち(幼女・犬)がうんこマンに綺麗な悲劇以外の別方向への救いの希望を託した事でSAD MAD GOOD-BYE(初期ガーネット編)がスタート。
スピカへの想いが継続したうんこマンは何度も自分の命を絶ちスピカへ近づこうとするところで、神様たちからもっと回りに目を向けてみてはどうか、と言ったアドバイスを受けガーネットへの意識を向ける。
このガーネット編ではこれでもかというくらい物語を壊し、綺麗に完成された悲劇を台無しにする事によって泥臭いハッピーエンドを求めます。
沖や二郎と共に原器(アルマゲスト)の真理を暴き、伊都夏市を壊しガーネットが新たに創り上げたセカイに悲劇を回避する可能性を示している。

その回答がSHOOT THE MIRACLE GOAL(初期ミラ編)。三角関係も媚薬が出てきて解決したり驚異的な数の悪魔が来襲しようといきなり出てきた機械で倒したり宇宙大魔王が出てきたり、トンでも設定のご都合主義のオンパレードなわけですが、これこそミラがセカイを創り上げていく事を端的に現し、またそのセカイを創り上げる過程においてうんこマンとミラの力だけでは不可能と主張するように選択肢を設け、うんこマンを死亡させリベンジさせている。そして、悲劇を否定し全員の力でハッピーエンドを向かえている。

「きみとぼく」と言ったセカイ系ど真ん中の初期魔女(エトワール)ルート。スピカ編ではセカイ観そのものを写し出し、ガーネット編ではセカイ観を壊し裏切り、ミラ編では新たなセカイ観を見せた。
セカイ系への新たなアプローチ、と言えるほどセカイ系について詳しくないのですが定義としては

セカイ系とは「自意識過剰な主人公が、世界や社会のイメージをもてないまま思弁的かつ直感的に『世界の果て』とつながってしまうような想像力」で成立している作品であるとされている ウィキペディアより

とされているそうで。セカイ系がセカイ系として救われるための物語だったのかなぁと。

そして、初期魔女ルートが終了すると伊都夏市の真実を知ったカチカチうんこマンと新たに落ちてきたやわらかうんこマンに分かれ物語が進むのですが、ここで言うカチカチうんこマンはまさにプレイヤーそのものというくらいの視点の高さでやわらかうんこマンの物語を見ることが出来る。
物語から遠ざかった一週目のカチカチうんこマンが神様としてやわらかうんこマンにアドバイスをする事によってうんこマン以外の神様が望む悲劇的なループする物語から脱却し、それぞれの独立したハッピーエンドを手に入れる。
この作品は過去の名作他作品でよくあるように時間が来ればループに入るのではなくうんこマン=主人公自体が死亡すればループへと入る。そしてこのゲームではうんこマンは幾度も死を迎える。リベンジムービーや作中のパロネタでも示唆されているように、うんこマンの死があたかもゲームのような扱いをされる。
そのゲーム感覚の死というものが、プレイヤーの視点を持ったカチカチうんこマンと新たなやわらかうんこマンの関係性を作り出す事によって魔女個別ルートではより浮き彫りになる。
端的に書いたのがガーネット個別ルート。敵に倒されながらもそのパターンや攻略法を探り当てつつ、2034回目に置いて遂には悪魔を攻略する。アクションゲームのように失敗する事が前提、というか娯楽になり、死亡した後も神様による「CONTINUE  →yes no」が繰り替えされ、クリアした後はゲーム的な達成感をもたらしている。

コロコロと変わる事象やご都合主義をこれでもかというくらい詰め込ませられる事やゲーム的に何度も死亡し何の感慨もなく復活するうんこマンを俯瞰することによって、魔女ルートが一通り終わる頃にはプレイヤーがこのゲーム(セカイ)自体を軽く捉えるように仕向けられる。
その疑問を形にして挟み込むのが日下部編と沖編。
日下部編では、真実を知った日下部がうんこマンを恐れ、対等な立場でなければ恋愛が出来ないと主張する。この作品の場合、恋愛=救いな訳ですから、対等な立場で無いと救うことが出来ない人物がいることを示唆し、沖編ではそれがアリデットなのであると言う事が判明する。(このあたりは攻略順次第で入れ替わりますが)
伊都夏市という彼女の作ったセカイを理解し、彼女の作ったセカイを救うためには彼女を理解する事。

そしてアリデットを救い、川嶋有里の元へ駆けつけてこの話も終了かぁと思っていれば、やっぱり最後の最後までご都合主義のハッピーエンドを届けてくれる。
どんでん返しのカタルシスはなくマラソンを走り終えた後のような心地よい疲労感と、ゴールを祝福するような花火が、ああー綺麗だなー、とただ疲れた頭へ届けてくれる。

よく小説家や漫画家などが物語を書くとき、キャラクターが勝手に動いて物語を作っていくと言うように、そのキャラクターが勝手に創り上げる物語を体現し、突き詰めたうえで構成したこの「スマガ」という作品は、非常に意欲的で完成度が高かったなぁと。

それにしても沖編は熱かった。まさかあんなシモネタが真面目なシーンの伏線になっていただなんて。悪魔尻尾の汁を飲んだと知った時と沖が悪魔化した原因が判明した時のアリデットの驚愕ぶりはもう鳥肌モノ。一色さんの演技が冴える冴える。あと、一色さんの物静かなキャラクターの演技が好きな自分にとっては川嶋有里の演技も結構クルものがありました。自分の中でスマガは最強の一色ゲーという感じですね。
日下部も良いキャラしていましたね。バイブとラストのCGは爆笑もの。あと榊原さんと言えば、正統派ヒロインのキャラクターしかイメージが無かったので、こんなキャラクターも出来るのだなぁと感心してしまいました。他に榊原さんがこういった演技をしているゲームが無いか探してみようかしらん。
まあでも結局は・・・ツルペタネコ耳メイド最高っ!なのですが。

どうでもいいのですけれど、スマガって素股みたいなイントネーションなのですね。スマガは普通に前の方にイントネーションを置くものだと思っておりました。


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