鼠の騙し討ち

太刀打できますん

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廃墟と化した街並みに影が落ちる。影は二つ。その影は人の形をし、夜空を駆けていた。
二つの影は、時に離れ、近づき、旋回し、さながらダンスでも踊るように無人になった廃墟の上空でステップを踏む。
文字通り、上空を踏むのだ。
重力素子の発明により、飛行機に滑走路が必要としなくなった時代。空を飛ぶ特権は、何も羽を宿した存在の者だけではなくなっていた。

「予想通り、か。お前の空戦への苦手意識は、ここに来てはっきりと出ているな。他人を騙せていても、土壇場でそれはお前の足を引きずる。おっと、ここでは足が付いている事になんて、意味がなかったな」

ダンスをリードしていた影、青い人型兵器に搭乗しているそれは、全体の37%を消費していたスラスターの噴射を止め、足場に重力を展開させ空中に立ち、そして、嘲笑を含めた口調で開きっぱなしのチャンネルに気の利かないジョークを吐いた。

相手側の影、こちらも同じ人型兵器だ。黒で統一したデザインや武装の違いは、互いに付いている勢力の違いとその戦闘スタイルを写し出していた。
搭乗しているのは、まだ成人すら迎えていない少女だった。パイロットスーツに身を包み、鳴り響くアラームを無視し、潰れた片目を押さえながら残る一方の、まるでガラス玉のような無機質な目で相手を睨み付けていた。

「良く喋るヤツだ。そんな事だから、拷問をされた瞬間に仲間の居場所を吐いてしまう。その行為を情けないとすら思えない、自分の神経を疑ってみろ」

そこへ甲高い声が響いてきた。

「損傷率12.85%。戦闘続行は危険。退却を推奨」

機体のサポートコンピューターから流れるアナウンスを、意見は許さないと言わんばかりの動作でアナウンスのボリュームを絞る。切り方が分からなかったのだ。

「はは、裏切ったと思えるほどに、俺は昔の場所に居た連中に仲間意識は持ってなかったからね。あいつらは本当に使えない連中だったよ。ろくに援護も出来ねぇ、補給もとちる、狙撃させりゃ足止め以外はできねぇと来た。俺の評価まで下がるとあっちゃあ、見限られても当然だろ。まあ、そのおかげでこっちに寝返る事も出来たし、こうして、微々たるヴァージョン違いだが、新型のテストパイロットにもなれた。まあ、実験体みたいなものだが、その程度の事に関しちゃ、あいつ等も俺の役に立ってくれたってわけだ。こちら側で俺を証明するための、な」

青い機体が手に持った機関銃の引き金を絞る。黒い機体は左上方に重力素子を展開、上方へ落ちると同時に、スラスターに噴射剤を叩き込み加速。毎秒13発の弾丸は虚空へと消えた。

「仲間意識を持っていたとしても、お前の選択は変わらないだろうし、実験体みたいな、じゃない、モルモットなんだよお前は。人の言葉を喋るな。虫唾が走る」

まだその場から動こうとしない機体へ向けて2発のミサイルを放った。白煙を巻き上げ標的へと向かう。そして、同じくミサイルを放った青い機体が、迫り来る弾頭を前にして、一瞬でその場から消えた。

「なにっ!」

その動揺から、迫り来るミサイルへの反応がコンマ数秒遅れ、若干の余裕を持って処理できていたはずの事にも苦戦する羽目になる。180度高速旋回したところでミサイルを交わすことなど出来はしない。軌道上にチャフをばら撒き逃げるのみだ。その過程も、先ほどの動揺によって切迫した心境から、精々生き延びる事が出来た、といったものだ。当然青い機体は、黒い機体よりも後にミサイルを撃ったのにもかかわらず、ミサイルへの処理は既に完了しフルオート射撃に移っている。
上下左右を使い、回り込むように避けるが、何発かは青い機体の四肢にあたり、その破片を雨のように降らしていく。

「・・・こちらの視界に移らない部分のスラスターを展開して逆方向に重力素子を展開し、その場に止まっていたように見せ、攻撃された瞬間に同時方向に加速。一点しか見ていなかった私からは消えたように写った、と。・・・下らないマネを」

「あははっ、せっかく人型兵器で空を飛んでいるんだから、これくらいはやらないと。だって人型兵器が空で戦う必要性もチャンスも無いんだから」

確かに人型兵器が空を飛ぶ事に意味は無い。空戦での王者は常に戦闘機だからだ。いくら人型という利点を活用しても、戦闘機の機動力には敵わず、ドックファイトにて的にされるのがオチだ。
だとしたら、なぜ人型が空を飛ぶように設計されたのか。それは単に移動手段や、高所での作業、空襲での自由度の高さ、まだ見ぬ宇宙を舞台にした戦闘を想定され作られたものだ。成層圏内での人型の戦闘はまずありえないと言ってもいい。だからこそ、黒い機体に搭乗している少女もこのシチュエーションには戸惑い、いい的になっている。

「元空軍だったな・・・なるほど、空はお前の味方か」

どちらの機体も機関銃をフルオートで射撃し、一定の距離を保つように縦横無尽に動き回っている。青の優勢は揺るがず、黒は追い詰められていく。
すると、黒が距離を取り出した。逃げる、という選択肢はありえない、逃げようにも容易く追いつけるほどに黒は破損していた。不審に思った青は距離を詰めるか迷い、黒に向かって進むことを決めた。
しかし、その一瞬の迷いで既に勝敗は決していた。

下弦の月を背後に夜空に浮かぶ薄汚い黒。その肩口に付けられた砲が光を放った。その光は筒から放射状に広がっていき青い機体を包み込んだ。

「ビーム兵器!!何を考えている!?」

この時代、ビームやレーザーと言うものは対人型兵器において効果的な戦力ではない。ビームやレーザーは単なる光だ。屈折させてしまえばどれほどの威力を持とうと、ダメージはゼロになる。黒い機体は光を屈折させる領域を展開していたので、光は機体を避けて通って行ったが、放射状に広がった光からは未だ包まれたままだ。この状態では攻撃する事も敵わず、光が止んだ直後に狙い撃ちにされるだろうと判断し、容易く光の渦から逃れる。が、そこで少女の声が聞こえた。

「やや中心点からずれた箇所を狙ったからな、お前が飛び出てくるところには当たりが付いている」

その声と同時に全弾を撃ちつくしたであろうミサイルの雨が黒い機体に降りかかっていた。

「なめるなっ!!」

青はチャフをばら撒きつつ残りのスラスターを惜しみなく使い、重力素子を左右上下展開し、マシンガンでミサイルを打ち落とし、その全てを避けきった。

「使えないと周りが判断したものに有用性を見出せない、それがお前の敗因だ」

ゴッ、と重い鉄と鉄がぶつかり合う音が機体背後から聞こえた。黒い機体の右斜め下から機関銃の砲身が生え、黒は容赦の一片も無く引き金を固く絞る。

零距離フルオート射撃。

「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

砕けたコンクリートの塊へバラバラと破片を撒き散らしながら疾走する、抱き合うように一個と化した影。青の昔に抱いた夢も絶望も向かった先での一縷の望みも、その全てを砕ききる様に。


全てが終わった時、青の機体はまだ少しばかり原型をとどめていた、そして、パイロットも無事である。
程なくして、青が開かれたチャンネルへ雑音交じりの声を黒に向けた。

「器用な真似しやがって・・・なぜ、機体を潰すだけにしたんだ・・・」

少女は答えない。

「なぜ、ここに来たんだ・・・俺が憎かった訳でもないんだろ?」

少女は答えない。

「お前はあいつらの部隊でも知り合いでもなかったはずだ。他人だったろ?」

そして、少女は彼へ向けての答えを返した・・・





「オカンが、車を溝に突っ込んでもてん」




いやー、日曜の夜のことだったのですけれど、大変でした。リトルバスターズをプレイしていた最中にいきなりオカンが切羽詰った声で呼んできたから何事かと思えば、家のそばにある角を曲がりきれずに、溝にタイヤをぶち込んでしまったのですよ。
とりあえず、傍にあったブロックを溝とタイヤの間に突っ込んでみて抜け出そうとしたのですけれど、どうも溝の端にホイルが押し付けられた状態で、タイヤが浮いていたのですよね。だからどれだけ動かしてもタイヤは空回り。
ですので、タイヤの下にボロボロになった毛布を突っ込んでみて、タイヤを回し、毛布をタイヤに絡めてから、ちょうど家の納屋にあった溝と同じ幅の木の板を差し込んで(さすが田舎だ。そんな丁度いい木の板があるなんて)父と二人がかりで押してみたところ、なんとか救出成功。
疲れた疲れたー。

どうでもいいけれど、前振りの量>本文の量、という公式をどうにかできなかったものか・・・


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Author:あきねずみ

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